甲状腺は、体の新陳代謝を左右する甲状腺ホルモンを分泌します。女性では男性の5~10倍甲状腺疾患が多いことが知られています。
甲状腺ホルモンが異常に多く作られている状態を甲状腺機能亢進症(バセドウ病など)、必要な量に足りない状態を甲状腺機能低下症(橋本病など)と呼びます。
発症年齢は10代~50代と比較的若年で、以下のような症状が出ることが多いです。
これらの症状は、更年期症状や月経前症候群、加齢と見分けがつきにくいため、心配な場合は一度血液検査をお勧め致します。
甲状腺疾患は、自己免疫疾患の一種と考えられており、月経周期の異常や不妊・流産の原因になることがあります。
妊娠を希望する女性では特に、甲状腺機能を良好に調節することが大切です。 特に不妊治療中(人工授精や体外受精)は、積極的に甲状腺機能異常の治療を行うことが提案されています。
脂質異常症とは、血液中のLDLコレステロール(悪玉コレステロール)や中性脂肪が多すぎたり、HDLコレステロール(善玉コレステロール)が少なくなる疾患です。放置すると、動脈硬化が少しずつ進んでいき、心筋梗塞や脳梗塞などの原因となります。
コレステロールの代謝には女性ホルモンが大きく関わっていることが分かっています。
排卵がある女性では、女性ホルモンであるエストロゲンが分泌されていますが、閉経するとエストロゲンがほとんど出なくなり、LDLコレステロールは上昇し、HDLコレステロールは減少します。
自覚症状はないのですが、血管へのダメージは少しずつ年単位で進み、高脂血症の状態が10年程度経過すると心筋梗塞などの動脈硬化疾患を合併する率が増え始めます。
血管の状態をよく保つことは、健康寿命に大きく関わるため、閉経まぎわからコレステロールの変化を採血で確認し、適切な生活習慣や食生活を意識しましょう。また、脂質制限をしすぎて栄養が偏るのもよくないため、状態によっては適切な薬物治療を開始することも大切です。
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