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ドラマ・フラジャイル(病理医 岸京一郎の所見)

昨年は産科医を取り上げたコウノドリを含め、医療ドラマが多かった印象ですが、新年からなかなか楽しみにしているドラマがあります。

13日水曜日夜10時スタートの「フラジャイル」。

フラジャイルドラマ

これは、普段その価値を意識されることが少ない(同業の医師ですら・・・)「病理医」に視点を当てたドラマです。

病理医の仕事は「病気の診断」。癌か、癌でないか、病気の正体はなんなのか、最終診断するのが仕事です。

 

たとえばこんな流れです。

患者さん「胸にしこりが・・・」→ 病院へ → 画像の検査→          乳腺外科医「検査の結果、乳がんの可能性があります。針を刺して組織のサンプルをとりましょう。検査結果は2週間後に」→ 針を刺して乳腺の組織を一部取る検査を実施

さあ、ここからが病理検査部の出番です。

組織をホルマリン固定 → 小さい組織を扱いやすく加工 → 薄くスライドグラスに張り付ける → 染色

組織

ここまで来てようやく、病理の先生が顕微鏡で診断できるようになります。

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病理医「・・・うん、乳がんだね。乳頭腺管癌。ホルモンレセプター陽性」

この診断に基づいて、その後の検査、手術、化学療法、放射線、その他の薬物治療が全て決まります。

 

その重圧たるや、想像に難くありません。

病理の専門医になるには、

● 5年以上病理診断を行ってきた経験を持っていること
● 50件以上の迅速病理診断をしていること
● 5000件以上の病理診断の経験がある
● 20体以上の病理解剖(死体解剖資格取得)

の受験資格をクリアした上で、日本病理学会が行っている専門医試験に合格することが必要です。しかも、日々変化する医療に合わせて勉強は一生続きます。

現在日本全国に、病理医は2千人ほどしかおりません。これは、不足が叫ばれている産婦人科医(1万人)の5分の1!同じく不足しがちな麻酔科医(8千人)の4分の1!

開業するまで、そういった状況にも気づきませんでした。特に外科系では、病気の診断は全ての治療方針を決めます。改めて、病理の先生方に感謝する今日この頃です。

 

病理医を主人公にした漫画もドラマも大変珍しいです。これを機会に認知度が高まり、病理医になる医学生が出てきたり・・・するといいなあ。

 

216/1/17 追記:なんと、病理専門医は2014年で1600人前後だそうです。病理専門医平均年齢は52才とのこと。これは近い将来、診断部門が破たんしかねないことを意味します。水と安全、健康はやはり黙っていたら出てくるものではありません。自分達の手で育てていく必要がありそうです。

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