ニキビの原因のひとつに「ホルモンバランスの乱れ」があります。
特に、生理前などに悪化するニキビは「男性ホルモン(アンドロゲン)」が関係しています。
ピルには、女性ホルモン(エストロゲンとプロゲスチン)がバランスよく含まれており、このホルモンの働きによって、男性ホルモンの影響をやわらげることができます。
- アンドロゲン(男性ホルモン)の抑制
ピルに含まれるエストロゲン(卵胞ホルモン)とプロゲスチン(黄体ホルモン)は、体内でのアンドロゲンの分泌や活性を抑えます。
→ アンドロゲンは皮脂腺を刺激して皮脂分泌を増やすため、これが抑えられることで皮脂の量が減り、ニキビができにくくなります。
- 皮脂分泌の減少
ピルによって皮脂の分泌が減ると、毛穴の詰まりが起こりにくくなり、炎症性ニキビの発生が抑えられます。
- 月経周期の安定化
ホルモンの波が安定することで、生理前などに肌の調子が悪くなるなどのトラブルが改善されやすくなります。
★ ピルはもともと避妊用として開発された薬ですが、他にも様々な良い効果をもっています。
ピルの避妊以外の効果(副効用)
- 月経痛・過多月経の軽減
- 貧血の改善
- 月経不順の改善
- 子宮内膜症の予防と改善
- 月経前症状(PMS)の軽減
- ニキビや多毛の改善
- 卵巣がん・子宮体がんの予防
生理痛(月経困難症)がある場合、保険適応のピルもあるのでご相談ください。(ピルの種類はこちら)
ピルは女性のニキビに対して、外用薬やニキビ治療薬を併用することで効果がより期待できる薬です。当院では、スキンフィニティクリニックと提携し、重症化する前にニキビを抑え、また、ニキビ跡になってしまった場合なども適切な治療をご案内しています。
【ピルの重大な副作用:血栓症】
血栓症とは、血管内に血液の塊ができ、詰まってしまう病気です。血栓症は若い女性ではまれな病気で、1万人に1-5人程度の発生率ですが、低用量ピルを内服した人では1万人に3-9人に発生率が上がります。
ただし、妊婦では1万人に5-20人、産後3か月までの女性では1万人に40-60人の発生率であり、妊娠のほうがピルの服用よりも血栓症になるリスクが高いといえます。また、低用量ピルより、中用量のピルのほうが血栓症が起こる確率は上がります。
この副作用を防ぐために、問診や検査でリスクの判定をします。
また、より血栓症が起こらないよう工夫された様々な新しいピルが開発されており、当院でも今後ご案内していく予定です。
【ピルのマイナートラブル】
ピルを飲み始めて最初のうちにおこりやすいトラブルとして、以下のようなものがあります。これは、内服を続けていくと症状が消えていくため、マイナートラブルと呼ばれます。
- 消化器症状:吐き気(2.25%)、下痢、腹痛、便秘など
- 乳房痛
- 頭痛
- 不正性器出血
症状の強さにもよりますが、服用開始後3か月程度は、医師とよく相談しながら継続しましょう。
また、安全にピルを使うため、婦人科検診は年に1回受けましょう。以下は当院でおすすめしている婦人科検診の項目です。
【ピルを使用している人に年1回受けて欲しい検査】
- 血圧測定
- 体重測定
- 子宮頸がん検診
- 性感染症検査
- 乳がん検診
- 子宮・卵巣超音波検査